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女性起業家にとって“リスク”はどう違うのか:フランス × 日本 × シンガポール

パリから東京へ。東京からシンガポールへ。シンガポールからパリへ。


女性起業家が国境を越えるとき、いちばん大きな衝撃は文化でも、言語でもありません。

それぞれの地域で『リスク』の捉え方がまったく異なっているということです。

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リスクはすべてに影響します。「いつ動くか」、 「どこまでチャレンジするか」、 「社会がどう反応するか」、 「失敗がどう解釈されるか」。


「アジア」と一括りにされがちですが、日本とシンガポールだけを比べても、アプローチは驚くほど異なります。この違いを理解することは、海外で第二章を築く女性にとって不可欠です。


余計な自己否定を避け、転機をよりクリアに進んでいくための力になるからです。


フランス:リスク=議論と自己定義の一部

フランスでは、リスクは「知的に検証するもの」。人々は議論し、質問し、アイデアを極限まで押し広げます。


「理にかなっている」と判断されれば、挑戦を後押しされる。さらに社会保障が「失敗の恐れ」を和らげてくれます。


しかし一方で、行政手続きや「パーフェクト主義」的文化がスピードを遅らせるため、起業家はローンチ前の準備に時間をかけます。


「私は十分に能力があるのだろうか? 信頼される存在なのだろうか?」


プレッシャーは社会からよりも、むしろ自分の内側から来るもの。


BPI や Station F、女性リーダーのネットワークなど、支援のエコシステムは非常に強いところが特徴です。


日本:リスク=社会的影響と背負う責任の大きさ

日本では、リスクは「個人」ではなく「周りを含む人たち」に影響するものとして扱われます。家族、会社、コミュニティ、友達。


恐れられているのは「失敗そのもの」ではなく、その後に生まれる「社会的な波紋」


起業はまだ一般的な選択肢ではなく、決断そのものがとても重く感じられています。しかし、一度始めれば日本の創業者は圧倒的な集中力・忍耐・継続力を発揮します。


女性はそのプレッシャーをさらに強く受けています。安定性や慎重さが求められるため、「絶対安全」と感じるまで新たなチャレンジを先送りにすることも多いのです。


しかし大都市を中心に女性起業家のための新しいエコシステムが生まれつつあります。


シンガポール:リスク=戦略とスピード

シンガポールのアプローチはまったく違います。


アクセラレーター、VC、そしてグローバルな思考。試す・修正する・スケールアップすることを恐れない環境です。


日本が「安定しているか?」フランスが「理にかなっているか?」と問うのに対して、シンガポールはではこう聞きます:


「スケールアップできるか?」


女性起業家にとってはチャンスが多い反面、スピードや成果への期待も大きいため、プレッシャーも強くなります。


社会的な評価や批判は少なく、動きの速いネットワークが広がっています。リスクは「ゲームの一部」として捉えられています。


アジアは一つではない。けれども、共通パターンはある

日本とシンガポールは全くのように思えますが、フランスと比べると、アジア特有の共通点も見えてきます:


  • 意思決定はより集団的

  • 評判と信頼は最重要

  • 失敗はあまり公には称賛されない

  • 長期的な安定が意思決定に影響する


ただし、スピードもプレッシャーの強さも国によってまったく違います。


  • 日本 = 慎重・評判優先

  • シンガポール = 迅速・機会優先


「リスク文化」は制限ではなく、レンズである


女性たちはしばしば、これらの違いを「自分の欠点」として受け取ってしまいます。


「私は遅い」「慎重すぎる」「大胆さが足りない」

そうではありません。


リスクの捉え方は、あなた自身ではなく 「環境の仕組み」

複数のリスク文化を知っていることは、弱点ではなく強みです。


経験を照らし合わせながら、それぞれの地域がもたらす影響を理解し、どこで次の人生を築くとしても、自分らしい“第二章”を描いていけるように、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。


 
 
 

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